【このまちとともに】営業歴26年のサラリーマンが江の島の盛り上げ隊長になった話
J:COMは地域を盛り上げるべく様々な地域イベントに参画していますが、江の島東浜で海の家を10年間にわたり営み続けていることは、なかなか知られていないかもしれません。
新型コロナが落ち着き、日常が取り戻されつつある今夏。恒例の海の家運営に加え、今年は初の試みとして盆踊りフェス「えのぼん」を開催しました。
その企画から実行までを手掛けた田中俊紀さんに取り組みの背景や地域への想いを聞きました。
地元のためにひと肌ぬぎたい
——この取り組みの背景を教えてください。
元々、J:COMでは2011年から江の島東浜でほぼ毎夏海の家を開いていました。当初のきっかけは湘南・江の島地域で営業活動をする企業として、地域密着のイベントを実施していきたいという想いから。当時の担当者は東日本大震災の影響を受けた江の島東浜を見て、海の家の参画を決めたようです。
海岸から地域情報発信するスタジオを設置して、海辺から生放送を行ったり、昨年は期間限定のシーサイドサウナを開いたり…。毎年工夫をこらして企画を考えてきましたが、新型コロナの波には勝てず、ここ数年は寂しい状況が続いていました。
江の島東浜の地元組合からも、賑わいを取り戻したいというお声をいただいており、ここで私たちがひと肌ぬがねば!という想いがありました。今年はこれまでやってきたことをただ繰り返すのではなく、地元の海を盛り上げるために何ができるか、一から企画を考えました。
検討の結果、これまで実施してきた海の家や番組収録の内容を強化し、さらには地元の方やアドバイザーである小山薫堂さんにもご協力いただき、新たな試みとして盆踊りフェスを実施することにしました。その後、主催となる江の島海水浴場営業組合 片瀬海岸東浜の方々と協議を重ね、盆踊りフェス「えのぼん」が始動しました。
盆踊りフェス「えのぼん」
——はじめての取り組みである盆踊りフェス「えのぼん」とは、どういった企画なんでしょうか?
波音と盆踊り曲をBGMに、江の島東浜で盆踊りを楽しむイベントです。
鎌倉・稲村ヶ崎公園で実施されているイベント「なみおと盆踊り祭」(通称:なみぼん)をヒントに企画したもので、海辺で盆踊りを踊るという新しい夏の風物詩を作れたらと思っています。
7月29日に行われたステージでは笑福亭鶴光さんの番組『笑福亭鶴光のオールナイトニッポン.TV@J:COM』の公開収録を行い、ゲストのDJ KOOさんによるスペシャルパフォーマンスで会場はかなり盛り上がりました。
ちゃんと人が集まるんだろうか?という不安をよそに、一体どこからこんなに人が!?と思うほど多くの方が集まっていました。
ヨット音頭やTRFの名曲「EZ DO DANCE」にのって、盆踊りを踊り、同じタイミングで声を掛け合い、東浜に熱い一体感がありましたね。
手探りではじまった海の家・盆踊りフェス企画
——どのようなきっかけでこの企画に取り組むことになったのですか?
私は長年営業のマネジメントに長く従事しており、今回の仕事についたのはこの春からです。4月にプロジェクトリーダーに任命され、いきなり江の島の盛り上げ隊長を任されてしまったわけです。これまでにもお客さまへのご提案を通じて地域に寄り添う活動は続けていましたが、このようなイベントを企画・運営をするのは初めてのことでした。
過去のノウハウは引き継いでもらいつつでしたが、「えのぼん」というゼロからの企画もあったため、完全に手探りの状態からのスタートでした。
——手探り状態からのスタートは大変なことも多かったのでは?
保健所への届け出も、消防法への対応も、海の家の建築も、何から何まで初めての連続で目を白黒させながら一つ一つクリアしていった感じです。
そんな不慣れな私を見かねて、地元の方々が優しくアドバイスしてくださり、オフィスや営業所の中では経験できないことをたくさん学ばせていただきました。
地元の方々は皆さん腕利き揃いでして。
地元の自然も熟知していて、風がこう吹いてきて、人の導線はこうなっているからから建物はこう建てるべきなど、地元の方ならではのアドバイスにとても助けられました。
地元の方からヒントをいただいたり、江の島のルールを教えていただいたりする中でも「この海を守りたい、盛り上げたい。」という強い想いをひしひしと感じ、このイベントを成功させたいという気持ちが次第に強くなっていきました。
また、盆踊りフェスは全てがゼロからのスタートでこちらもなかなか大変でした。イベントのイメージを掴むため各所の盆踊りに視察に行ったり、アイデアの元になったイベントの発起人である小川コータ&とまそんさんからアドバイスをいただいたり、盆踊り指導をお願いした盆女のみなさんに直接交渉して打ち合わせを重ねたり…。
湘南に拠点をもつJ:COMグループのメンバーも朝から汗を流しながら海の家の運営に日々協力してもらっていますし、本当に多くの方々の支えがあったからこそ、開催日を迎えられたと思っています。
地域の広告塔、発信源として
——江の島の海の家を継続する理由はなんですか?
東京オリンピックの時期には、ちょうどここ江の島がセーリングの会場となり、海の家と特設ステージで盛り上げる計画があったのですが、新型コロナで中止になってしまいました。
その際、海の家をはじめて10年経ったタイミングでもあったため、そろそろこのあたりで終了してもいいのでは…という社内の声もありました。それでもなぜ海の家を運営し続けたのかといえば、やはりこの街、この海を盛り上げたいという気持ちが強くあったからでした。
しっかり地元に根を張って江の島を地域の魅力発信スポットとして長期的に関わっていくことに意味があると思っています。
私たちが海の家をはじめた当初はどうせビジネスとしての付き合いなんでしょ、と思われていたかもしれないですが、最近は江の島海水浴場営業組合の方や商工会の方々も、東浜を盛り上げていく一員として期待を寄せていただいているのを感じています。
今年も特設ステージを利用して、当社が運営するコミュニティチャンネルの公開収録を行いました。公開収録を観覧して興味をもっていただき、さらに放送を通じて普段見えていなかった魅力に気づいていただき、地元の方も違うエリアに住む方も魅力を再発見していただきたいなと思っています。
地元とスクラムを組んでイベントを盛り上げる
——取り組みを通じて、地域の方々との関係性はどう変わりましたか?
今回のイベントは、江の島海水浴場営業組合、観光協会、地元商店街、地元電鉄にも告知のご協力をいただき、街全体でスクラムを組んで盛り上げていくという体制でした。
「海で盆踊り?どういうこと?」と最初はイメージがつかない方も多かったのですが、実際に本番を迎えてみると、楽しさや盛り上がりを肌で感じていただけたようで「また来年もやるべきだね!」という声もいただきました。
ちなみに、今私が着ているえのぼんTシャツは、当初自社のスタッフ用に作成したものだったんですが、イベントに関わる人みんなで着るべきだ!という声があがり、Tシャツを増産し地元の組合の方も含めた関係者全員で着用することになったんです。
やっぱり同じユニフォームを着ると、みんなでえのぼんを盛り上げるんだ!という一体感が生まれますね。
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10年江の島の夏を見続けたわたしたちだからこそ
わたしたちが江の島で海の家をはじめて10年。
地元の方々と一緒に歩んできたからこそ、長年地元の方々が守り続けた海の価値と魅力をより深く知ることができていると思っています。
全国に拠点を持つ企業としての規模と、それぞれの土地に根付き、地元の特徴や課題を細かく把握できる地域性の両面を持つ、わたしたちの強みとこれまでの経験を掛け合わせて、もっと地元を盛り上げていきたいと考えています。
J:COMの海の家は、地域の文化継承や魅力発信スポットとしての長期的な意義を重視して継続している取り組みです。地域を盛り上げる拠点の一つとして、さらに足場を固めていきたいです。
今年の海の家・えのぼんは残りわずかですが、次回以降チャレンジしたいことがたくさんあります。今後も継続的に、もっと地元を盛り上げていきたいと思っています。
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