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【このまちとともに】竹のクリスマスツリーが神戸・王子動物園と地域をつなぐ「竹とずーっといっしょプロジェクト」

J:COMは、地域イベントや行政情報、安心・安全に役立つ防災情報など地域に根差した情報を発信するほか、様々な自治体や企業・団体等と連携して社会や地域の課題解決に向けた取り組みも行っています。

今回フォーカスするのは、J:COMが甲南大学、神戸市立王子動物園と協働で取り組んだ「竹とずーっといっしょプロジェクト」。地域の放置竹林問題に取り組む学生とタッグを組んで、整備活動で伐採した竹をアップサイクルし、高さ約3mのクリスマスツリーによみがえらせました。竹の枝の隙間からあふれる温かな光が訪れる人々をやさしく照らし、冬の動物園が幻想的な雰囲気に包まれました。

竹のクリスマスツリーを通して地域の課題解決を目指す、垣内 明里さんに取り組みの経緯とツリーに込めた思いを聞きました。




垣内 明里
株式会社ジェイコムウエスト 地域コミュニケーション統括部
2018年に入社、ジェイコムウエスト北摂局と神戸芦屋局で営業を経験し、2023年1月から8月まで神戸芦屋局の地域プロデューサーとして活躍。現在は、ジェイコムウエスト各局エリアにおける地域DX推進・地域活性化業務に従事している。


放置竹林の認知拡大と集客のきっかけに


──「竹とずーっといっしょプロジェクト」とはどのようなプロジェクトですか?
 
神戸にキャンパスがある甲南大学と神戸市立王子動物園、そしてジェイコムウエスト 神戸芦屋局などが中心となって進める協働プロジェクトです。

神戸市内で課題となっている放置竹林問題に対し、竹林被害の認知拡大と竹の持続的な消費に取り組む学生などと連携し、竹林整備活動で伐採した竹を材料にクリスマスツリーを制作。2023年12月14日(木)〜26日(火)まで王子動物園内の動物科学資料館に設置します。


──プロジェクトがスタートしたきっかけは?

このプロジェクトは甲南大学の学生の取り組みがきっかけになっています。

神戸市では高齢化や担い手不足を背景に、手入れされないまま放置された“放置竹林”が増加しています。成長が早い竹は周囲の日光を遮断して樹木の成長を妨げていました。ほかの樹木に比べて根を浅く張るため、大雨の際の土砂災害も懸念されています。

甲南大学では学生や教員、地元企業などが主体となり、放置竹林問題解決のためのアクションを起こすプロジェクト「BambooにThank you Project」を2021年にスタートしました。

「竹林被害の認知拡大」「持続的な消費」「持続的な活動基盤の構築」を掲げ、竹林の整備活動や竹の活用促進などに取り組んでいます。

J:COMはこの取り組みに共感し、これから地域の主役を担う学生たちの活動を支援するため2023年7月からサポートを開始しました。

まずは、J:COMが応援番組を制作・放送している神戸市王子動物園と、甲南大学の学生たちをつなぎました。「来園者に竹のクリスマスツリーを楽しみながら放置竹林の問題を知っていただきたい、一緒に課題解決に向けた協力の輪を広げていきたい!」、これが今回の取り組みのはじまりです。

<甲南大学の学生たちとのディスカッションの様子>


──今回クリスマスツリーが設置される王子動物園は、地元の方にとってどのような存在なのでしょうか?
 
王子動物園は神戸市の市立動物園で、神戸市民に限らず近隣地域でも子どもの時から行ってるよ、という方も多いと思います。
 
なんといってもジャイアントパンダのタンタン、ゾウやコアラ、ペンギンなど約130種の動物が飼育されていて、日本で唯一ジャイアントパンダとコアラを同時に見ることができる動物園でもあります。
 
園内には遊園地や動物科学資料館などもあり、子どもから大人まで訪れた方それぞれに思い出や愛着があると思います。
 
J:COMでは2023年4月から、王子動物園の応援番組『おうじどうぶつえんとずーっといっしょテレビ』を関西全域のコミュニティチャンネル「J:COMチャンネル」(地デジ11ch)*で放送、Youtubeで配信しています。

王子動物園で生きる動物たちの知られざる生態や普段は見られない動物園の裏側を紹介し、園の取り組みや生物への理解を深める機会を提供しています。

*J:COMチャンネル
J:COMご加入中、またはJ:COM導入物件にお住いの方であれば、どなたでも視聴可能な無料チャンネルです。
おうじどうぶつえんとずーっといっしょテレビ』は、大阪府・兵庫県・京都府・和歌山県内のJ:COMサービスエリアで視聴可能です。   


竹の魅力と社会課題を“光と影”で表現。世界で一つだけのクリスマスツリー


──今回のプロジェクトのみどころは?
 
竹で作られた高さ3mのクリスマスツリーです。内部に設置したLED電球が優しい光を放ち、竹の枝の隙間からあふれでる光が幻想的な陰影を作り出します。
 
この「光と影」が今回のツリーのコンセプトになっています。竹には知られざる魅力や可能性、楽しさがあることを「光」で、同時にさまざまな環境問題を抱えていることを「影」で表現しました。
 
それから王子動物園の人気者、ジャイアントパンダのタンタンのエサには、実は神戸市北区の竹が使用されているんです。パンダの大好物をクリスマスツリーにしたらどうなるか?そんな意味も込められています。

<竹のクリスマスツリー設置の様子>


──材料となる竹も皆さんで伐採されたそうですね。
 
はい、ツリーの材料には、竹林の整備活動で伐採した竹を約110本使用しています。私も学生と一緒に伐採作業に参加しました。中には高さ8mにも育ったものもあり、なかなか大変な作業でした。

<竹林伐採の様子>


──ツリーのデザインはどのように決められたのでしょうか?

デザインに関しては、神戸を拠点に活動する設計事務所「MuFF」に設計・監修をお願いしました。

学生と複数回のワークショップを重ね、強度や安全性を配慮しながらデザインを仕上げていきました。

さらにイベント終了後には、伐採した竹を竹炭へ加工し、土壌改良剤や消臭剤として活用する予定です。竹を資源として最後まで無駄なく使えることを知ってもらいたくて、準備しているところです。

これまで学生さんたちの活動場所は大学内が中心でしたが、王子動物園にはお子さんからご年配の方まで幅広い世代の方が訪れます。ツリーをきっかけに地域の皆さんにプロジェクトの取り組みを知っていただけたらと考えています。


──12月14日には点灯式がありました。ご来園者やメンバーの反応はいかがでしたか?
 
点灯式には20人ほどにお集まりいただきました。ツリーがライトアップされた瞬間、来園者やプロジェクトメンバーからも拍手と歓声が上がり、無事に設置完了できたことにホッとしました。
 
ツリーは光の当たり方によってさまざまな表情を見せてくれるので、みなさん記念撮影をしながら楽しそうに眺めていらっしゃいましたね。


──期間中にはワークショップも実施されたんですね。
 
甲南大学のほか近隣の神戸海星女子学院中学校・高等学校の学生さんに参加いただき、ツリーに使われた竹の端材を使ってクリスマスリースやストラップ、竹灯篭を作るワークショップを開催しました。
 
参加者は小さなお子さんから中高生、近隣にお住まいの方などさまざまで「竹に触れるのが新鮮」といったお声も聞かれました。
 
竹は昔からカゴやザル、箸などの材料に使われているように私たちの暮らしに身近な存在です。ワークショップをきっかけに竹の魅力を改めて知っていただけたら嬉しいです。

<ワークショップの様子>


目指すは“地域の頼れるコンシェルジュ”


──垣内さんはプロジェクトでどのような役割を担当されたのでしょうか?
 
私は大学や動物園、神戸市など各団体の調整役として、プロジェクトのスケジューリングや進捗管理、企画のサポートなどを担当しました。
 
今回の「竹とずーっといっしょプロジェクト」は、私が神戸芦屋局で地域プロデューサーをしていた時の案件なのですが、現在の部署に異動してからも神戸芦屋局の地域プロデューサーと共にプロジェクトを進めています。


 ──地域プロデューサーとはどのようなお仕事ですか?
 
地域プロデューサーはJ:COM各局に所属し、地域の自治体や商工会議所、観光協会などと連携して、シティプロモーション協力や社会課題解決の推進、イベント開催を通した地域活性化やコミュニティづくりに携わっています。
 
目指すは“頼れる地域のコンシェルジュ”。地域の皆様に寄り添い、地域活性化の一端を担うことがミッションです。

 
──地域によってさまざまなお困り事があると思います。垣内さんの担当エリアではどのような課題があるのでしょうか?
 
私が担当する神戸芦屋局エリアにおける課題の一つとして、インバウンドに関するものがあると考えています。コロナ禍以降、関西圏にも多くの旅行客が訪れていますが、大阪や京都、広島などに集中する傾向があります。神戸にもさまざまな観光名所や見どころがあるので、発信を強化するべく取り組んでいます。

 
──地域プロデューサーとして、お仕事のやりがいをどんな時に感じますか?
 
イベントを無事に形にして、参加者が楽しんでいる光景を目の当たりにした時、また関係者の方から「開催して良かった」と嬉しい声をいただいた時には、大きな充実感とやりがいを感じます。


課題解決のために、地域と人をつなぐ“ハブ”になりたい


──最後に、垣内さんがこれから目指すことは?
 
私自身、このプロジェクトに参加するまでは神戸市の放置竹林問題のことを知りませんでした。
 
地域には世の中には知られていない課題がまだまだたくさんありますが、それらの情報をいち早くキャッチし、メディアを通して広く発信できること、そして地域の行政や企業・団体等と連携して課題解決に貢献ができるのは、地域に根ざした活動を行っているJ:COMだからこその強みです。
 
私も地域プロデューサーとして地域の皆様に寄り添いながら、課題解決のために地域と人をつなぐ“ハブ”になれたらと思っています。


♪本日のBGM♪ 
Winter Wonderland - Michael Bublé
このBGMを聞きながら読むといいかも♪という音楽を勝手におすすめしています。