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【新しい学びのカタチ】J:COM初のVTuber「バーチャル営業マンジェイ」誕生秘話

わたしたちは、お客さまの便利で豊かな生活を支えるために多様な商品・サービスを提供しています。商品サービスに対するお客さまの素朴な疑問やお問い合わせに想像力を働かせ、迅速、そして柔軟に応対できるようになるため、従業員が高い知識を身に着けることが必要であることは言うまでもありません。
 
一方、TV・ネット・モバイルからでんき・オンライン診療など商品サービスの種類が多岐にわたり、お客さま応対と学びの時間のバランスが難しいのも事実です。そんな中、従業員が業務の隙間時間で効率よく商品やサービスの知識等をインプットできる、J:COM初のVTuber「バーチャル営業マン ジェイ」によるeラーニングコンテンツが誕生しました。
 
社内の学びにVTuberを採用した経緯と反響の大きさ、社内の変化を聞くと、新しい学びのカタチが見えてきました。語ってくれるのは社内VTuberをプロデュースした、お客さま営業本部 営業サポート部の富岡 淳太さんです。


富岡 淳太(とみおか じゅんた)
2011年入社。お客さま営業本部 営業サポート部 営業トレーナー。「バーチャル営業マンジェイ」のプロデューサーとして、営業企画・動画制作に携わる。




商品知識をわかりやすくポップに。共感される動画コンテンツを発信


——富岡さんは普段、セールス担当のトレーニングや新人研修に携わっていますよね。
 
私は入社以来一貫して営業畑で、2015年からは営業指導やサポートをするトレーナーとして、セールス担当の育成や組織力強化、新人研修に携わっています。
 
長く新人研修を続ける中で、全国にいる約2,600名のセールス担当がお客さまへ柔軟に応対するためのスキル強化や情報共有を目的として、2022年10月に社内VTuberジェイが出演するeラーニングコンテンツ「スーパーレップTV」を配信開始しました。
 

——VTuberはなかなかユニークな取り組みですね。
スタートにはどのような背景があったのでしょうか?
 
私たち営業サポート部は、お客さまのより便利で豊かな暮らしの実現に向けた、よりよい提案ができるように新商品やサービスに関する情報、ポイントなどを全国のセールス担当に向けて発信しています。
 
セールス担当向けの説明会などを開催していましたが、そもそもお客さまの応対は外回りが中心のため、長時間の説明会への参加が難しいことや、資料に専門用語が多くてとっつきにくいという課題がありました。
 
セールス担当はメールをこまめにチェックする時間も限られるので、周知したい情報が浸透するまでに何週間も要したり、伝言ゲームのようになり、正しい意図が伝わらなかったりすることも…。
 
セールス担当が理解してお客さまに説明できるためには、もっと要点を絞って、よりわかりやすい言葉に置き換えなければと感じていました。
 
2019年からは私やトレーナーが出演し営業手法をレクチャーする研修動画を制作し、全国のセールス担当へ展開していました。しかし、ストレートに伝えたい内容なのに固い表現を使ってしまい、セールス担当にとってもとっつきにくく、窮屈な動画になっていたこともありました。
 
私たちが変わらなければ、届かない。セールス担当の共感を得てジブンゴト化するには、もっと親しみやすい表現で伝えた方が効果的ではないか?新しいアプローチ方法はないか?
 
そこでひらめいたのがVTuberでした。


社内VTuberジェイ誕生!社員のスキル&モチベーションをアップ


――そうして誕生したのがバーチャル営業マン ジェイですね。
ジェイはどんなキャラクターでしょうか?
 
VTuberのジェイはJ:COMに所属する架空のセールス担当です。eラーニングのメイン視聴者は全国のセールス担当なので、なるべく親しみやすい雰囲気で、ポジティブに共感してもらえるキャラクターを目指しました。
 
服装はセールス担当の制服を忠実に再現し、実はディテールにもこだわっています。
 
当初、営業トレーナーが所属する営業サポート部が発信するので「バーチャルトレーナー」という名称も考えましたが、それでは視聴者と少し距離ができてしまうと思い、セールス担当と同じ目線で話ができる「バーチャル営業マン」を採用しました。
 
先輩のセールス担当ではなくバーチャルな存在だからこそ、余計なバイアスがかからずにフラットに内容を受け止めてもらえているようです。


――VTuberは社内初の試みとのこと。社内にはどのように提案したのでしょうか?

上司も初めは「VTuber?なんとなく聞いたことはあるけれど…」と半信半疑でした。
 
提案資料だけでイメージしてもらうのは非常に難しかったので、見本のアバターを作って実際の動きを見せ、VTuberが伝えることでどれだけ効果があるのか、なぜ実在する人では共感を得にくいのかなどをプレゼンしました。
 
上司も初めて見るVTuberに「なんだか面白そうだね」と反応が格段によくなり、無事にGOサインが出ました。
 
 
――配信開始にあたって工夫したことは?
 
重視したのは「セールス担当にダイレクトに情報を届ける」ことです。そのため、セールス担当がいちばん触れる機会が多い営業用タブレット端末に直接コンテンツを配信できるようシステム構築しました。
 
結果として、全国のセールス担当がいち早く最新情報に触れることや、成功事例を横展開することができるようになりました。
 
 
――コンテンツはどのように制作しているのでしょうか?
 
平均2週間に1回のペースでコンテンツをリリースしています。テーマは新商品の解説や旬のトピックスが主だったところです。全国の従業員のスキルアップのため、横展開できる成功事例がないか、積極的に他部署や各拠点に声をかけるようにしています。
 
テーマは部内で協議し決定しますが、脚本作成から収録、編集、配信まですべて私がメインとなって担当しています。5年間ほぼ毎日動画編集に携わってきたので、制作のスピードには自信があります(笑)。
 

――コンテンツ制作においてどのようなことを重視していますか?
 
もちろん、お客さまからのよくあるお問い合わせ内容や、新商品などについてわかりやすく伝えるよう心がけていますが、同時に意識しているのが「セールス担当のモチベーションを上げること」です。
 
営業資料や商品説明会では、内容を理解できても、セールス担当の共感を得たり、モチベーションをアップしたりする効果は強くありません。
 
VTuberジェイのeラーニングコンテンツでは「セールス担当がどんな気持ちになるか」に重きを置いて、クスッと笑えるような「セールス担当あるあるネタ」も挟み込みました。
 
セールス担当を対象にしたアンケートでは、嬉しいことに7割以上が「視聴によりモチベーションがあがった」と回答をもらうことができました。視聴者と同じスタンスに立つことによって、共感を得ることができた本取り組みならではの結果だと思います。


イベントレポートが大反響!J:COMカルチャーを伝え、一体感を生むプラットフォームにも


――これまでの配信動画で、特に反響が大きかったものは何ですか?
 
一つは新商品の解説動画です。今年2月、一戸建て向け防犯カメラサービス「J:COM HOME 防犯カメラパック」がスタートしたのですが、社内からは防犯カメラという商材になじみが薄く、商品内容や工事方法を理解するのが難しいという声がありました。
 
そこで、実際に工事の模様を撮影して動画にすると「お客さまへ提案するイメージが湧いた」と言ってもらえ、従来の説明会や資料ではカバーできない内容を表現することができました。
 
もう一つは社内の同好イベント、フットサル大会「J:COMカップ」と草野球大会「J:COM BASEBALL CLASSIC」のイベントレポートです。
 
フットサル大会は元日本代表の選手がゲスト参加したり、草野球大会は横浜スタジアムや甲子園球場で決勝戦を開催したりと、スポーツイベントに非常に力を入れています。しかし、これらのイベントを社内に対して映像で周知するスキームがなく、試合の熱気を伝えることが難しかったんです。
 
そこで、2023年にコロナ禍を経て4年ぶりに開催した両大会を映像にして配信したところ、「こんなに盛り上がっていたのか」「来年は絶対参加したい!」といった声が寄せられました。
 
新型コロナ以降、社内イベントの重要性があらためて注目されています。組織の一体感を生み、モチベーションを高めるからです。こうした活用もありだと確信を深めました。


未来の研修講師はVTuber? 学び方をブラッシュアップしたい


――配信開始から約1年半が経ちました。これまでを振り返っていかがですか?
 
最初は「VTuberなんてやる意味あるの?」と効果に疑問を持つ人も多かったのですが、今では社内の方々からも共感いただき、期待してもらえるコンテンツになりました。
 
これまで社員向けに説明する資料はしっかりお堅めな内容が多いと感じていましたが、「こんなポップな情報発信もOKなんだ」という新しい流れができて、今まで届きにくかった層にも情報をリーチできるようになり、社内文化にも一石を投じられたように思います。
 
「新人研修に活用している。わかりやすくて助かっているよ。」というポジティブな声もたくさんいただくようになり、手ごたえも感じています。
 
 
――これから動画配信を通してチャレンジしてみたいことは?
 
学ぶ方法として、VTuberコンテンツをよりメジャーな存在にしていきたいです。従来はインプット方法として、本社から与えられた資料を各々が読み込んで理解し、行間やニュアンスがある場合は受け手が想像する必要がありました。
 
ですが、VTuberコンテンツなら映像や音声、演出もあるため情報量が格段に多く、受け手に伝えたい情報を均質にインプットできるようになります。各組織で資料作成や勉強会を実施する手間を削減して、効率化に繋がる動画を配信することで、いつか研修講師の役割をVTuberが担えるようにしたいですね。

 
――社内で一番影響力のあるメディア・媒体になれたら嬉しいですね。
そのほか、ひそかに温めている企画やアイデアはありますか?
 
ジェイは社内にしか公開していないので、ゆくゆくは社外に向けても発信していきたいです。例えば、昨今需要が高まっているオンラインでの営業をVTuberが担うとか…。
 
それから「女性のキャラクターも登場してほしい」という声もよくいただくので、新キャラクターの公募を実施しても面白そうですよね。
 
J:COMはさまざまな特技を持ったメンバーがいるので、もし動画編集やキャラクターデザイン、声優など得意な方がいたら一緒に何かできると嬉しいです。
 
――最後に、富岡さんご自身の今後の目標を教えてください。
 
これからもセールス担当の共感を得て、学びの助けになるよう貢献しつつ、「とにかくやってみよう、ダメだったら変えればいいんだから」の精神でどんどん新しいことにチャレンジしていきたいです。
 
一般的に大企業では前例主義の強い傾向が見られ、新しいアイデアを実現しにくい風土もあると聞きます。でもJ:COMは、人と違うアイデアを実行できる環境があります。
 
現在、VTuberのプロデュース活動以外にも「イノベーション推進タスクフォース」という社内組織に所属していて、Web3やChatGPTなど先端技術を使って事業化できないか?という活動をしています。
 
新しいテクノロジーを使ったプロジェクトは、自由で新しいことに挑戦できるフィールドです。VTuberと同様に、まだ誰も挑戦してない面白いことをどんどん発掘していきたいと思っています。


♪本日のBGM♪ 
Derezzed (from TRON: Legacy) - Daft Punk
このBGMを聞きながら読むといいかも♪という音楽を勝手におすすめしています。

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