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【社会課題解決】あんしんネット教室 ~みんなで幸せになれるインターネットの世界を作りたい!

インターネットやソーシャルメディアの発展に伴い、わたしたちの暮らしは便利で豊かになりました。調べ物はもちろん、世界中の誰とでもつながれる、買い物をすれば自宅に商品が届くなど、日々の生活になくてはならない存在となりました。
 
しかし、その裏では犯罪に巻き込まれて被害者になってしまうことや、加害者になってしまうトラブルも起きています。さらに、情報化社会の急速な発展に伴い、デジタルデバイド(情報格差)など新たな問題も増え続けています。
 
J:COMは、こうした社会課題を解決し、安心安全で快適なインターネット環境をみなさまとともに創造したいという想いで、「ZAQあんしんネット教室(以下、ネット教室)」を2007年から実施し、子どもたちからシニア世代まで延べ16万人 に受講いただいています。(※2023年7月末現在)
 
本教室へ情熱を傾けている粟津千草さんに、取り組みに対する想いや活動内容、今後の展望についてインタビューしました。 



 
粟津 千草
株式会社ジェイコムウエスト お客さまサービス推進統括部 情報リテラシーアドバイザー
2011年より「デジタルフレンドリー」な社会のために邁進。主に関西エリアで年間平均150回以上の講座を実施。小学1年生から大人まで、世代に沿ったインターネットの安全な利用講座が好評。


便利だからこそ身に付けたいネットリテラシー

—— ネット教室の講師をはじめた理由を教えてください。
私は、小学生時代に通っていた英語の塾で、パソコンの英単語ゲームに触れ、「パソコンっておもしろい!!」と感動して以来、デジタル機器が好きになりました。
 
2000年代前半にはインターネットの接続環境が飛躍的に向上し、リアルで会ったことがない人でも、それも世界中どこにいる人とでも、いつでも会話できるチャットに、「ネットには“距離”なんてないんだ!?」と、物理に拘束されない自由な世界に感銘を受けたんです。
 
以来、デジタル機器やインターネットの進化を体感してきて、「映画の世界が現実になってきているなあ…」と感じています。しかもまだまだ発展していく。そんな自由で、進化を続ける世界が大好きで、ワクワクします。
 
でも、インターネットをきっかけとする様々な社会問題が発生してしまうと、危ないから「規制する」といった、「自由」とは反対の方向に進んでいく。もちろん規制がまったく不要だとは思っていません。ただ、行き過ぎると、発展性が阻まれてしまったり、自由が損なわれたりするのではないかと感じています。
 
規制とのバランスが取れ、わたしたちの生活を自由で豊かなものにするためにインターネットを活用したい…そのために、みんなでネットリテラシーを高めていけたらいいな…という想いで、この教室の講師をはじめました。
 
—— どのような教室を行っているのでしょうか
小中高校生と教員や保護者を対象に、インターネットやスマートフォン(以下、スマホ)の安全な使い方を伝える「ZAQあんしんネット教室」を実施しています。生活の身近にあるインターネットやSNSとの付き合い方、セキュリティの大切さなどの事例を交えて安全な利用方法をお伝えしています。

「ZAQあんしんネット教室」の様子

また、大阪府警察本部・生活安全課との「SNS防犯教室」や、大阪府福祉部子ども家庭局の「スマホ・SNS安全教室」への協力など、行政や他事業者とも連携し、地域の青少年を守るための取り組みも行っています。

さらに、シニア向けに「スマホ教室」も開催しています。スマホに苦手意識を持つ方でも、疑問や不安を解消してご家族・ご友人とのコミュニケーションを楽しんだり、ちょっと便利な生活をおくったりしてもらえるよう、専門用語を使わずに操作方法やセキュリティの話をわかりやすくお伝えしています。


子どもたちを守るために伝えたいこと

 —— 「ZAQあんしんネット教室」の内容を教えてください。
今の子どもたちは、スマホやゲームでインターネットにつながっていることが当たり前です。それが日常だからこそ、安心で安全な使い方を自身で考えられるようになることを目指し、ネット社会で求められる情報モラルをテーマに子どもたちが納得できる伝え方にこだわった授業を行っています。
 
また、教員対象の「子どものネット利用の危険性を保護者に伝える方法」、「子どもへの啓発方法」、保護者に対しての「子どもの利用実態を知る重要性」や「家庭でのルールづくり」等の講座も行っています。
 
—— 教室の反響を教えてください
子どもたちからは、「インターネットは危ないからやめなさいとだけ言われても納得できなかったのが、この授業でどうしてダメなのか、その理由がよく分かった。だから教えてもらったポイントに気をつける」等の感想をもらっています。
 
さらに、「ネット教室で習ったことだから、それはやめた方がいい」と子どもたち同士で声をかけあう姿が見られ、抑止につながっていると、学校の先生から伺っています。

 

保護者からは、「いつから子どもにスマホを持たせてよいのか」という質問を多くいただきます。お子さまの状況にもよりますが、私の個人的な意見としては早い方がいいと考えています。思春期や反抗期になってからでは、「ルールを決めよう」などと言っても、話し合い自体が難しい場合もあります。
 
ただ、今の子ども達は自身がスマホを持つ前から、デジタル機器の扱いかたを「学習」しています。誰から? ――親、そして周りの大人からです。
ですので、「スマホを持たせるときに、ルールを考えよう」ではなく、その前から親子で話題にしていただくことをオススメしています。そうした話し合える関係をつくることで、子ども自身がインターネットを活用できるリテラシーを身につけられますし、保護者の方もサポートができると思っています。

 

“デジタルデバイド解消”ではなく、“デジタルフレンドリー”

—— シニア向けのスマホ教室ではどのようなことを行っているのでしょうか
インターネットやデジタル機器に対して苦手意識を持っている方々が、少しでも「仲良く」なれる教室にしたいと思っています。カタカナ用語を分かりやすい言葉に言い換えたり、実体がない用語を物理的なものに例えたり、画面を見ながらゆっくりと説明し、ご自身で操作できる時間が多くなるようにしています。また写真入りの説明文を準備し、参加された方がご自宅でも繰り返し練習できるようにしています。

<スマホ教室の資料イメージ>

—— スマホ教室を受講されたシニアの方々の声を教えてください
「スマホは難しいと思っていたが、操作は“慣れ”だと聞いて、家でもやってみようと思った」「コツがわかると便利に使えることが分かって楽しい」、「ネットの個人情報漏洩や詐欺をニュースで知った。自分も被害に遭いそうで怖かったが、偽メールや詐欺サイトの見分け方やパスワード管理の重要性などを理解できたから、安心して使えそう」等の感想をいただいています。
 
—— スマホ教室の意義はどのようなところにありますか?
新型コロナの影響で対面での教室ができなくなった際、オンラインで教室を開催したことがありましたが、シニアの一部の方は参加すること自体が難しい状況でした。考えてみれば当たり前なのですが、スマホが使えないという方にオンラインの講義を受けてもらうのはハードルが高すぎますよね…。スタートラインに立つ方へ丁寧にお伝えすることの重要性を改めて感じた場面でした。
 
最近ではオンライン上しか入口がない手続きも増えていて、今後ますますオンライン化する世の中で、使えない方々はどうやって生活していけばいいのか? 社会とのコンタクトができなくなったら分断が進んでしまうという焦りと、あらゆる世代がネットを快適に使えるための取り組みを急いで進めていかなくてはとの危機感があります。

出典)内閣府「情報通信機器の利活用に関する世論調査」(2021) を基に作成

—— 「デジタルデバイドの解消」は重要な課題の一つですね
そうですね。ただ、私にとってデジタルデバイドの解消という言葉はマイナスをゼロにするような印象です。ご家族・ご友人とのコミュニケーションや、インターネットがあるからこその豊かな生活を楽しむ。そのために、人が主体となってネットやデジタル機器と仲良くする「デジタルフレンドリー」というキーワードを、広めていきたいと考えています。


みんなで幸せになれるインターネットの世界を作りたい

—— 今後の取り組みやビジョンについてお聞かせください。
インターネットでは、世界中の人々や情報とつながり、わたしたちがワクワクする豊かな未来にもつながっています。誰もが仲良く、楽しく、便利に使える “デジタルフレンドリー”な世界になることを目指して、まずは地域のみなさまが安心・安全にインターネットを活用するためのネット教室を広げていきます。
 
ただ、J:COMのネット教室だけでは限界がありますので、さらにより多くの方へ届けるため、啓発番組の放送やYouTube配信など様々な情報発信を行うとともに、賛同いただける方々とのコラボレーションもしていきたいです。
 
実は、私が初回に担当したネット教室は、開始早々パソコンがフリーズしてしまい資料投影ができず…全部アドリブでお話ししたんです。ほかにも、授業中に停電し、プロジェクターが使えなくなってしまい、これまたアドリブで児童のみなさんと掛け合いで授業をしたこともありました。
 
でも、どんなハプニングがあっても、やめたいと思ったことは一度もありません。それどころか、講座でみなさんにお会いすればするほど、参加者のみなさんと対話できるワクワクが心の底からあふれてくるんです。
 
私が、こんなに情熱をもって仕事ができるのは、J:COMの仲間とわたしたちの活動を応援してくださる方がいるからです。
こんなに有難い世界にご縁をいただけたことが、心から嬉しいですし、だからこそ「ZAQあんしんネット教室」を、みんなで幸せになれるデジタル社会のために続けていく! …と決意しています!

 

ネット教室講師・粟津が、インターネットやスマホについて書いている不定期連載コラムはこちら。
「ZAQあんしんネット教室コラム」


♪本日のBGM♪
Firework – Katy Perry
このBGMを聞きながら読むといいかも♪という音楽を勝手におすすめしています。

 

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